コラム実体験から得たもの 第3話

平行・直角・高さ制限

今回は活動の始まりの時期はどんな様子だったのか、活動が始まった直後のお話です。

改善活動は週5日で全ての日にコンサルタント先生と社長が現場に入ります。なぜ社長と一緒かと申しますと、コンサルタント先生の指示を社長がその場で承認する事で機会損失を減らすのが目的だと説明されていました。また、社長自ら3現主義(現場、現実、現物)を実践したいとの希望もあったそうです。

活動の開始直後まずメンバーの出社時間が変わりました。この時代(1980年代)の工場の始業は朝8時15分が一般的でした。改善メンバーはそれより早い朝7時の集合となりました。平屋の食堂に集合したメンバーの7時から8時までの1時間はコンサルタント先生の講義と前日の改善結果の報告に充てられました。そして8時になるとメンバー全員は箒を持って工場の入り口に再集合し一斉に工場周りの清掃に入ります。社員の出勤が始まりますから、管理職は率先して大きな声で「おはようございます」と声をかけます。これはコンサルタント先生の「社員の皆さんが仕事をして下さるのに管理職が威張っていてどうする、お出迎えは管理職の仕事だ」と言う朝の講義から出たものです。そして数日後工場で大きな変化がありました。

朝、社長と共に工場に入ったコンサルタント先生が現場に置かれている仕掛品のパレットを足で蹴りました。そして言いました。「建屋はあっても道がない。直ぐ通路を作りなさい」そして、いくつかの基本ルールを言って帰ってゆきました。そのルールは、①床全面にペンキを塗る、②通路を色分けする、③通路はフォークが動くに十分な幅であること、④通路は全て直線で曲がり角は直角にすること、⑤仕掛品や道具などは絶対に通路に置かない、⑥物品の直置きは禁止する、⑦置く状態は通路に対して必ず平行にする、⑧常設の設備以外は1.3mの高さに制限する。大雑把にはこの様な事だったと思います。

通路の為のペンキ塗りは工場の止まる土曜日に行いました。メンバー全員が土曜の朝に一斉に工場内の物品を外に移動し床全面にペンキを塗りました。色は床全面が緑色、通路は白色、白と緑の境に10cmほど黄色で縁取りしたように記憶しています。乾くのに1日半掛かったので、日曜日の夕方から物品を指示された様に工場に再配置しました。

作業が終えて皆びっくり!通路はまっすぐ工場の端まで延びて反対側の出入り口が真正面に見え、高さ制限のために工場の何処にいても作業者を探せる。更に通路に平行・直角に置いたパレットの無機質的な美しさが前日の工場とは別物でした。この瞬間当社の工場(こうば)が近代工場(こうじょう)に生まれ変わった様でした。

月曜日の朝になりコンサルタント先生と社長が工場を見て褒めてくれました。その中でコンサルタント先生は「従来の思考の延長線上で見て、昨日より今日が良くなったと言う言い訳は良くない。いつも頭の中は白紙の状態で物事を観察して、あるべき姿をイメージしなさい」と言いました。それから工場では、「並行、直角、高さ制限」が社員の合言葉となりました。

以上