コラム実体験から得たもの 第5話

整頓の意味

第3話、第4話の改善活動後、工場ではフォークリフトが動き易くなり、製品出荷倉庫も順調にピッキング業務が出来る様になってからの話です。

朝の会議で、3Sについてコンサルタント先生から質問された製造の課長が、「整理、整頓、清掃の事でしょう」と簡単に返答しました。それを受けて先生は更に「整頓するとはどういうことですか」と質問し、課長は「あるべき物が、あるべき場所に、置いてあることでしょう」と答えました。

コンサルタント先生は「それでは、この工具は何処があるべき場所ですか」と聞きました。課長は「同じものが有るので、たぶんAかBラインの後ろの棚に置いてあったと思います」と答えました。先生は別の管理職に「じゃ、あなたは置き場が分かるのですか」と質問したところ、彼は「分からないので、Aラインに行って○○担当に聞いて片づけます」と答えました。ここからコンサルタント先生の講義が始まりました。

「整頓を甘く考えていませんか。これをどこに置こう!と言ってもアドレスが無いから、いつもの利用者しか知らない。これはあるべき物か?と聞かれても、そんな証も無く所有者が居ないから曖昧になり、たまに見えなくなる。また、そのうち出てくる。片づける途中でも置きっぱなし、これが当社の実態でしょう」と言い、更に「あるべき物も、あるべき場所も、定義が出来てなくて何が整頓ですか」と畳み込まれてしまいました。

我々は、日常、QC活動の中で、棚に工具リストを張ったり、スローガンを書いたり活動はしていましたが、あくまで小集団活動の中で行っていたもので、なかなか全社統一の規則化まで至らなかったのが実情でした。

この講義を受けて、早速メンバーが集まり工場と倉庫にアドレス名(例えば、Aライン1棚、材料倉庫3棚、中央事務所などの地番名称)を付けた地図を作りました。全管理職が出ているのですから決まれば徹底することは容易でした。私たちは、それぞれの場所に、良く見えるような看板や札を付け、工具やマテハンには収納アドレスや所有者の氏名を書いたシールを張り、同様に記載した備品書を作って部署ごとに据え置きました。一時置きは、いつ、誰が片づけるかを書いた紙が付いてないと、直ぐ部長まで連絡すると言う様にルールを作りました。

アドレスが整備されるに従って、品質手順書や工程管理書等へこのアドレスが記載されるようになり、曖昧だった部分が見える様になってきました。整頓だけでもこれだけ掛かって、未だ終わりが見えないのだから、5Sとなったら想像も出来ないほどに大変な事だと分かってきました。改善活動に入り半年が過ぎたこの時期になって、会社は生き物みたいに変化するものだという実感が私の中に湧いてきました。

以上