コラム実体験から得たもの 第6話

対立しない会議

改善活動と言っても体を動かす事ばかりではありません。会社を良くする為に活動をしているので、問題が持ち上がれば集まって対策会議をします。

ある時、品質不良が連続して発生し、営業クレームになってしまいました。これを解決するために改善メンバーが会議を行いました。全員が管理職なので全ての専門家が集まった様な会議になりました。創業古い会社であり、30数年前の話なので上下関係は今より厳しいと考えてください。先ず、会議テーブルの配置をロの字かコの字形に配置し、議長が上座に腰掛けます。あとは部署ごとにまとまり座るのが当時の形でした。

さて、会議が始まり、営業が、クレーム発生の状況と顧客の言い分を話し、信用問題に発展すると顧客から怒られたと言います。品質管理部は不具合部位を指し品質手順書通りの生産をしたのか説明を求めます。工場は短納期の注文で量産が出来ず、冶具の交換やラインの停止が頻発し、作業段取りが煩雑になってしまって、結果見落としが発生したと反論します。部門間だけでなく上下間の軋轢が噴出した会議になりました。

会議が始まり暫くして、突然コンサルタント先生が社長と会議室に来られ、こちらを見ながら、いつもの通り進めるよう指示をしました。社長の前であったことも影響してか、お互い譲らずテンションが上がるばかりでした。ここでコンサルタント先生が待ったを掛けました。先生は「皆さん、会議の目的を忘れていませんか?」と質問しました。

皆、真剣に会議をしていると思っているので、何でこんな質問をされるのか、誰も答えないでいました。それを感じて、先生は「会議をする時、向かい合って行うと必ず対立が起こります。その上、この会議では報告が口頭でなされています。(実際は、不具合のあった現物を指しながら説明していたが)これでは理解がまちまちになり情報の共有も出来ません」と言い、直ぐに黒板(今ではホワイトボードですが)を用意させ、更に黒板に向かってテーブルを学校スタイルに変えさせました。

先生は、「言いたいことは黒板に書きなさい。皆さんの相手は人間ではなく黒板に書いてある内容です。言葉は、聞けば誤解を招くが、書いてあるものは誤解しようがありません」更に続けて、「100%ダメな意見などないのだから、少しでも共感できる意見が出たら、反対するのではなくその上に自分のアイディアを乗せもっと良くしなさい。この会議の真の目的は一つでしょう」と話し、社長と共に黙って会議の続きを見ていました。

私たちは座り直し、相手の顔を見ないで黒板に書かれている内容だけを見ながら議論を始めました。セクショナリズムが収まり、お互いずっと合理的に(理論的に)話が出来る様になりました。それ以降は会議では必ず黒板を用意し、書いた内容に更に良い意見を書き加えながら進めるスタイルとなりました。

以上